吉浦監督作『水のコトバ』の表象考察

こんにちは、山キョンです。

今回は吉浦康裕氏の自主制作アニメーションである『水のコトバ』に出てくる登場人物の相互関係について分析してみました。

吉浦監督の作品と言えば、『イヴの時間』で一躍有名になりましたね。最近だと『サカサマのパテマ』や『アルモニ』などを手掛けています。急激なズームインや登場人物達のテンポの良い会話、目まぐるしく変わるカメラアングル等が特徴的です。

まずは水のコトバ本編をご覧ください↓

本編はいかがでしたか?
イヴの時間をご覧になった方は舞台設定や演出がとてもよく似ていると感じたと思います。

 

では、各シーンについて見ていきましょう

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舞台はとあるカフェ
手前から少年、男性二人組、女性二人組、主人公、女店員
それぞれがバラバラに過ごしている

 

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カウンター席に座り、フラれた女の愚痴を言う主人公とそれを聞く店員

 

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次に、女友達が好きになった人が実は男じゃなかった、という会話をする女性二人

 

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そしてカメラは絵画の中の魚がいなくなったと語る男性と、それを「フィクションだ」と言う男性をとらえる

 

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横にパンしてSFモノの本を読む少年
彼の読む本にはアシモフのロボット三原則が書かれている

 

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コーヒーのおかわりをもらった時に店員の秘密に気付いた女性

 

ここで各々が別行動をとっているように見えていたものに、何か一連の繋がりがあると分かる

 

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そして主人公は2階の不思議空間へ
カフェにいる人達の会話が同時に聞こえてくる

 

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最後に店員さんはロボットでしたというオチで終わる


 

これらのポイントから、各登場人物の関係を以下のように示せた

登場人物の相関図

水のコトバ相関図

図より、各登場人物が主人公を中心に関わり合っていることが分かる。

 

このアニメは何を表象しているのか

本作は人々が別の行動をしていると思いきや実は何かしらの繋がりがあった、という内容です。

めまぐるしいカメラワークは発言速度を表象し、多種多様な人物が1つの空間(カフェ)に存在している状態はインターネット空間(不安定な「リアリティ」[小山,須川 71])を表象しています。

男2人組の会話で「力のある言霊は喋った後も消えずに残る」と発言しています。これはネット掲示板での書き込みやSNSでの発言を暗喩しています。

また、冒頭のそれぞれのグループの会話をとらえるシーンで、前のグループが中央の奥に映っているが少年は単独で映っており、しかも誰とも喋らずに本を読んでいます。これは、自ら発信しなくともネットに存在する情報を自分の好きなものだけ閲覧できるというインターネットの側面を表象しています。

そして、彼女にフラれた主人公を励ましていた女店員が実はロボットであったというオチも、不安定なリアリティを表象しています。

つまり、この作品はツイッターのようなコミュニケーションがある現代のデジタル化社会が表象されているのです。

 

この作品が発表されたのが2002年なのでかなり早いうちに現代のネットコミュニケーションを示唆していたんですねぇ

 

 

参照,引用文献

小山昌宏,須川亜紀子編『アニメ研究入門―アニメを極める9つのツボ―』、現代書館、2013年、47-74頁。

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